ジャカルタの日本人が思うこと

ジャカルタ在住15年の日本人が思う、日本とインドネシアのいろいろなこと。

悟空くんにクレオパトラちゃん:自由奔放なインドネシア人の名前

去年あたりに当地で非常に人気になった「Dunia Terbalik(逆さまの世界)」というドラマがある(2018年11月現在まだ続いている)。妻たちが海外に出稼ぎに行くのが常態化したジャワの農村で、残された夫が家事や育児に奮闘するという話で、私も一時期よく見ていた。
インドネシアの地上波ドラマは現実にはありそうにない昼ドラor少女マンガ的な恋愛ものと庶民の生活を描いた日常ものに大別できるように思うが、後者はインドネシアの今を考えるのになかなか興味深い材料である。
このDunia Terbalikの主人公である主夫たちは「アチェン」だの「アクン」だの「ダダン」だのと極めてベタなスンダ人の名前が付けられている。それに対して、その子ども達は「エドワード」とか「ジェニファー」とか西洋風の名前ばかりだ。

インドネシア人の命名は非常に自由である。Dunia Terbalikの主夫たちのような民族ごとの伝統的な名前があるほか、イスラム教徒の「ムハンマド」、「ユスフ」のような宗教がらみの名前は世代を問わず多い。名前を聞いただけで宗教が分かるので便利といえば便利であるが、もし万が一将来改宗したらどうなろうのだろう。キリスト教徒のムハンマドさんやイスラム教徒のマリアさんは具合が悪いような気がするのだが、一度そういう人に会ってみたいものである。
若い世代では、やはり西洋風の名前が多い。完全な東南アジア顔だけど「ジェイムス」とか「ヘレン」とかは珍しくない。珍しくなさすぎてもはや違和感もなくなってきた。日本だといずれも「キラキラネーム」「DQNネーム」と批判されそうな名前ばかりだが、ここではそうした批判はあまり聞かない(全く無いわけじゃないけど)。
そんな感じなので、稀にだが日本風の名前の子もいる。日本留学した人がつける他、「イスラム風」「イギリス風」「日本風」などの名前の例が載った命名指南書から取ることもあるそうだ。

たまひよ赤ちゃんのしあわせ名前事典2019?2020年版

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 そういえばアイドルグループのJKT48にはクレオパトラという子がいた。名前に負けない美人に育って良かったと心から思う。個人的には息子に「Goku(悟空)」と名付けた人を知っている。Goku君は将来空手を習わされたりするのだろうか。才能があることを願って止まない。

こういう名前は親の志向というか憧れの対象を素直に示しているだろうから、もしインドネシアにも新生児の名前ランキングがあれば、インドネシア人がどっちを向いているのかの指標になりそうだ。昨今のイスラム化傾向を考えると、実は欧米系の名前が減少し、イスラム・アラブ系の名前が増えてきていたりするのかもしれない。

 

 

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