ジャカルタの日本人が思うこと

ジャカルタ在住15年の日本人が思う、日本とインドネシアのいろいろなこと。

滋養強壮にコブラの生き血:ゲテモノ料理の世界

*ゲテモノ食品の写真があるので苦手な人は読まないでください*

 

ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX)

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どこの国にもゲテモノ料理はある。日本にはないと思っていても、イナゴの佃煮とか、白子とか、馬刺の話をインドネシア人にすると「うげー」という表情をするので試してみてほしい。馬刺とか普通に居酒屋で食べたりするが、生の馬の肉って冷静に考えると結構キテる気がする。

ゲテモノってほどでもないが、インドネシアで比較的よく見かける抵抗感のある食材はカエルだろうか。ジャワでは昔からよく食べられており、確かに唐揚げとか鶏肉みたいで美味しかったりする(だったら鶏肉食べればいいじゃん、と考えてはならない)。でも、カエルのあの足がそのままの形で入っているスープは個人的にはちょっとキツイ。味は悪くないけど、ビジュアル的に。
ちょっと探すとワニ肉も見つけられる。これは白身魚っぽい。華人エリアだとヘビ肉もある。昔、猿の脳を食べる店があると聞いたことがあるが、これは未確認である。ものすごくヤバイ病気になりそうだ。
地方に行くと、ヤモリとかコウモリとかを食べる地域もある。市場まで行って売っているのを見たが、魔女のおばあさんが「イーヒッヒ」と笑いながら大きな釜に入れる黒魔術の材料にしか見えず、実食は断念した。健康上のリスクがないのか不安でもあったし。

 

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北スラウェシ・マナド近郊の市場で売っていたコウモリ。魔界の生物にしか見えない

実際に挑戦したものの中で一番のゲテモノは、コブラの生き血だろうか。ジャカルタ華人街コタで、コブラを万力のようなもので固定し、ナタでスパッと首を切り落とし、血をコップに絞り出して、殺菌のためにアラック(地酒)と混ぜて飲むというものだったが、いかにも鉄分豊富そうなザラッとした味だったのを覚えている。後で医療関係者に聞いたところ、酒を混ぜたくらいでは病原菌は死なないので危険だ、とのことだった。

 

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コブラから血を絞る。滋養強壮に効くらしい

といっても、大多数のインドネシア人にとって、もっとも身近なゲテモノは豚肉だろう。私の妻はふだん全くお祈りすらしないいい加減なイスラム教徒だが、それでも豚肉は食べないし、私が食べるのも嫌がる。聞いてみると、「なんか気持ち悪い」というのだ。でも理不尽なことに豚骨スープのラーメンは平気で食べる(そして、チャーシューは食べない)。

おそらく宗教的な理由とは別に、子どものころから豚肉を食べる習慣がないため、頭では「美味しいのだろう」「安全だ」「栄養豊富だ」と理解しても、気持ちの面で豚を食べ物として受け入れられないのだろう。だからあからさまな豚肉は他人が食べるのを見るのも気持ち悪いと感じるし、言われなければ豚と分からない豚骨スープは平気なのだ。
これは私がカエルの唐揚げは平気だけど、カエルそのままの姿のスープはダメというのとちょうど同じといえる。

最後に、私がもっとも許せないインドネシアのゲテモノは砂糖をドバドバ入れたゲキアマ緑茶である。日本人の客だということで気を使って緑茶だしてくれる心遣いはありがたいのだけど…。